連 載 25
平成16年6月20日号(第2275号)

税と対峙する ‐25‐

    ・高額納税者番付は不況を反映
    ・消費の活性化にほど遠い所得

                
 先月、平成15年分(平成15年1月1日〜12月31日)の個人の所得税の高額納税者の氏名が公示された。新聞紙上では全国別、市町村別、更に芸能人別のランキングが掲載されたが、全国の税務署では納税額1000万超の人の氏名がオープンにされる。今年は全国で7万人余りの人がこの対象となったとのことであるが、これは国民1億2000万人の中で1000人に1人程度もいない計算になる。
 納税額1000万円とは具体的にどのくらいの収入か考える場合、課税される所得の金額をまず求めないといけない。たとえばサラリーマンの場合は、給料(給与収入)から一定の必要経費が控除され給与所得控除後の金額が算出される。これに社会保険料・扶養家族・基礎控除などの所得控除が勘案されこの課税所得となる。その金額に10%から最高37%までの所得税が課税される。なお、現在最高25万円の特別減税が適用されている。
 この形を具体的金額にあてはめるとサラリーマンが高額納税者になるためには年収で4100万円程度となる。(計算は別記)この数字は上場企業の社長でも半分にも満たないだろうし、不動産や配当・年金などいくつかの所得との合算によって1000万円を超える人も多いはずである。給料だけで1000万円の納税になる人はそうそうはいない。また年収4000〜5000万が給料の上限といっていいだろうから、納税額が2000〜万3000万になる人は事業や株の売買などで高額所得を得た人がほとんどである。
 今年は事業の内容についても美容や健康食品など人の心の満足感に訴える業界の異常な所得が浮き彫りになった。発展途上国では考えられない分野であろうし、こうしたところにも日本の経済構造の歪みが見受けられる。成長産業として評価をすべき面はあるがこうした産業は基幹産業にはなり得ないし、といって伝統文化の向上につながるものでもないからだ。そしてなにより、一部の人だけが利益を得る事業であることが致命的である。
 一般的な分野で多くの人が所得を増やすことのできる産業の成長が停滞していることはそのまま消費の低迷につながっている。加えて今年多く出現した株長者も、事業継承のための自己防衛のための税務対策としての消極的な納税者であり、本当に株の売買で儲けた人ではない。こうした状況を見ても日本の景気回復の光は一向に明るさを増しているとはいえない。