連 載 28
平成16年11月05日号(第2283号)

税と対峙する ‐28‐

   誰もが受けられる減税制度が消えていく
 消費者から大衆の存在を切り捨てる暴挙を見逃すな

                
 年末に開示される税制改正の動きが、非常に不安な状況になってきた。平成十一年から行なわれている所得税の「定率減税」が来年以降縮小される方向になりそうだ。
「定率減税」は全ての国民がそれぞれ支払うその年の所得税に対して25万円を限度にその20%を免除するという極めて即物的で無制限の減税である。
 通常減税という制度は、住宅を取得した場合にその借入金の残高の1%に相当する所得税を減額する「住宅借入金控除」のように、結論としての減税額は、明快に決まっていてもそこに到るまでには所得制限、床面積制限、中古建物制限など極めて多くの壁があり「あなたの場合は減税は認められません」となることも日常茶飯事である。法律の上では簡単に受けられるものが、行政の運用である政令、施行規則などでその適用ががんじがらめにされるのである。
 これに比べ、定率減税はその概念が、ストレートに適用につながるのがこの減税制度の最大の手柄といえるのだが、これがなくなっていくという話なのだ。
 これは見方をかえれば、行政側の規則で適用を厳格に制限できるものは減税政策として残し、多くの人の減税にダイレクトにつながるものは廃止していこうというものであり、行政・官僚の隠蔽主義がこんなところにもあらわれているようだ。
 去年廃止が決まった「老年者控除」50万円、「配偶者特別控除」38万円の控除も同様だ。前者は65才以上の場合、後者は配偶者に所得がない場合にはほとんど、あまねくその控除額を所得から差し引くことができるものである。その際、制限となったのは高額所得(配偶者特別控除は配偶者の所得)の要素くらいだ。この控除を適用すれば年間数万円から10万円を超える減税が享受できたのだが、こうした控除がバッサリと廃止された。
 一方、わずか5万円の「生命保険料控除」、3000円の「損害保険料控除」など沢山の人が加入しているとはいえ、ほとんどの人にとって減税メリットは300円〜数千円程度しかない制度は残される。これらの控除を受ける為に控除証明書を集めるわずらわしさを考えただけでも国民全体で大変な経済的利益の損失がおきているのだが……。実質より見た目で減税状況をアピールできるものが残されるという非常に狡猾な手法である。
 定率減税は、住民税についても連動して実施されているので、縮小されれば同時にこれも増税になる。
 生活弱者に対して目配りしていくという視点はもはや税制改正においてなくなってしまったのだろうか。高額所得者のぜい沢消費を煽っても普遍的な消費回復にはつながらない。あまりにも当たり前だが大衆を対象にした消費活性化のための減税政策をいかに実行させるか、デパート業界においてもこの秋はこのテーマを片時も忘れてはならない。
 百貨店協会の粘りに注目したい。