連 載 3
平成15年 6月5日号(第2251号)

税と対峙する ‐3‐

 外形標準課税が実施されると事業税は現在の所得に対してのみ課税されて
いる形でなくなる。 新たに給与、賃借料、利子、利益、資本、の5つの要
素(付加価値額)が課税上のポイントとして浮上してくる。 今回はデパー
トが最も影響を受けやすい給与について触れてみよう。
 企業は人を雇って事業を推進する。 あまりにも当たり前の話であり、課
税上も最も介入しにくい聖域であった。 この雇用という形について一定の
事業税(収益配分額)が発生することになる。 この場合、何人雇っている
かということではなく、給与をいくら払っているかが算定基礎になる。 た
とえば社員100人に年総額5億円の給与を支払っていたとしよう。 今迄
は全く税金に関係なかった支払いが今回の外形標準課税の導入でその0.4
8%が税金として流出する。 5億円×0.48%=240万円。 これが
新たに発生する税額である。 また給与の他に外注で雇った派遣社員等に支
払った金額の75%は同じく給与とみなして課税対象に加えられる。 仮に
1億円外注費を支払っていたとすれば1億円×75%×0.48%36万
円が税額となる。 240万円+36万円=276万円が新たな納税額とな
るわけだ。 ここで注意してほしいことは企業の規模が大きくなり人件費の
額が増えた場合の減額措置、いわゆる頭ハネがないことだ。
 企業というのは大きくなればそれだけ儲けが多くなるという性質のもので
はない。 大きくなれば人件費は当然増えるが儲け=所得は別ものなのであ
る。 今迄は所得課税だったのでどんなに大きくても赤字であれば事業税は
免除されてきたが、今回の課税は容赦がない。 大きくなればなるほど納税
額が増えてしまうのだ。 仮に給与が10億円になれば前記の金額は480
万円になり、100億円になれば4800万円の税金が自然に加算されてし
まうのである。 今迄全く想定されていなかった事態が突然に起こってしま
ったとしかいいようがない。 社会的に雇用の問題が重大なテーマとなって
いる今、多くの雇用を創出しているデパート業界にとっては極めて不合理な
課税といえよう。 尚、計算上は給与の額が給与と賃借料と支払利子の合計
額の70%を超える部分には課税されないこととなっている。
 さて、外形標準課税の納税額はこれだけではない。 次回は賃借料、利子
等についてみていきたい。