連 載 36
平成17年07月05日号(第2299号)

税と対峙する ‐3 6‐

緊急事態

     政府税調は家族崩壊を図るのか
増税戦争はいよいよ本丸での攻防に入った

                
 政府税制調査会(政府税調)の所得課税改革の報告書が発表された。まさに「大上段から振りかぶって」の感の強い増税プランである。
 昨年末の定率減税廃止、一昨年の配偶者特別控除・老齢者控除の廃止と個人への所得税の補促の行程が国民の大きな反発もなく順調に進んでいることを踏まえ、いよいよ本丸へと増税の波は迫ってきた感がある。
 今回、遡上に上ったのは「配偶者控除の廃止」とサラリーマンの「給与所得控除額の縮小」である。特に配偶者控除について言及されるということは、所得控除の存在自体、意味がないものとみなしているということに他ならない。
 所得税はその人があげた収入(事業や給与など)から一定の経費を差し引き、その減った分を所得として把握する。この所得に対して、その人の生活上考慮される点、つまり支払った社会保険料や生命保険料、また配偶者や扶養家族の数に応じた一定の控除がされ、課税される所得額が計算される。これに10%〜37%の税率を乗じて、その人のその年の所得税が決るのである。この所得税について20%の割合で減免された定率減税はすでに廃止され、所得控除項目も配偶者特別控除や老年者控除などは削られてきているわけである。
 そして今回は、専業主婦の存在を否定しかねない配偶者控除の廃止案である。配偶者控除は、配偶者に所得がない場合(給料だけなら年間103万円の収入までOK)に相手方の所得から38万円(高齢者は48万円)が控除されるものである。これがなくなれば、たとえば税率10%の人なら3万8千円、最高税率(37%)の人なら14万円の所得税が増税となる。
 当然これに連動して住民税も増税となり、それを基礎としている国民健康保険料も大きく増えることになる。所得税で一つの控除が減れば、他の制度でもいくつかの支出に関連するわけだが、特に最も多くの家庭で適用されている配偶者控除が廃止されることは、現在所得税を担う中心層の負担を激増させることになる。社会構造の変化、家族の個々化等、配偶者控除はすでに今の日本社会になじまないというのが税調の見解のようだが、何をかいわんやである。
 晩婚化・未婚化そして少子化が加速度的に進んでいく中で、いかに子育てができ、家族の結びつきを甦らせることができるかが、日本の最大テーマであろう。
結婚の意義を弱め、フリーターや生涯独身の形を今後の形とみなしたり、専業主婦の価値を奪い、無理矢理女性に社会進出をはからせるという発想は本末転倒である。
 民間が、働く女性を真の意味で社会的に助ける力をつけるまでは、家族内での主婦の意味を失わせるようなことを税制がとってはならない。
今後是正していかなければならない社会環境を「あるべき将来」とするような税制は、社会悪といえよう。
 仮にこうした税制プランが進めば、年収500万円のサラリーマンの家庭で可処分所得は確実に2%以上減少するなど、国民の消費生活にも重大な変化が生じることはまちがいない。社会的背景を無視した暴挙は絶対に止めねばなるまい。